愉しくなくちゃ 絵ではない

                 

                 文・前田優光

 

ぼくはほんとうの絵なんて描けない

でもほんとうの! ってどんな絵なんだろう

音楽の「がく」は楽しいと書く

苦虫をつぶしたような顔で バイエルを練習するのも音楽

だがそれはほんとうの一部の人のもの

本来はもっと楽しいもの

絵だっておんなじ

鉛筆をかしげたり 立てたり 指で四角をつくったり

怖い顔で石膏(せっこう)にむかって描くのも絵だが

それだってほんの一部の人もの

ボクが思っているほんとうの絵とは

好きなものを好きなように描く それがほんとうの絵と思う

だからボクはいつもこう言っている

「絵は愉(楽)しくなくちゃ 絵ではない」

そんな楽しい絵を描くのに欠かせないのが鉛筆と絵の具

絵の具は机の上に広げているだけで心がおどる

赤色君 黄色君 青色君

ほかに もっともっと沢山のお友達がいる

ひとつとして同じ顔はない

そんないろいろ色君たちと

いろんなお話をしながら描いたのが

『愉しくなくちゃ 絵ではない』

むずかしいことなんて考えない

ただ絵の中で 好きなように遊べばいいのだ